弁護士とその他の退職代行業者との違い

退職代行コラム

Q. 退職代行の依頼を検討しています。ネットで検索してみたら、退職業者の広告を見かけました。退職代行業者に依頼するのと弁護士に依頼するのとではどう違いがあるのでしょうか?

A. 弁護士に依頼をすれば、会社に対する退職申し入れから、その後の事務処理一切について、弁護士を窓口にすることができ、これにより依頼人は、会社との一切の折衝(交渉)をすることなく、弁護士に退職問題の解決を委ねることが出来ます。

一方、退職代行業者が行う退職代行業務は、弁護士法72条により、依頼人の退職の意思を会社に伝達する以上のことはできません。つまり残業代請求など労働に関する問題についての交渉は一切できないのです。

① 弁護士法72条は、「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業としてすることができない」と規定して、非弁護士が有償で反復継続して法律事件の代理をし、その他法律事務を取り扱うことを禁止しています。違反には罰則があり、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられることとなります。

② 同条は、いわゆる退職代行業務に関して、業者は有償で労働者の代理人となることはもちろん、労働者が使用者に対して退職通知をした後も、業者が使用者との間で退職に関する協議をすることも禁止しています。したがって、仮に労働者が業者に依頼して退職通知が使用者に伝達されたとしても、使用者から労働者に対して、直接連絡してくることを拒めません。さらに、使用者が労働者の退職を認めない、未払給与・退職金を支払わない、離職手続をしないといった対応をしたとしても、業者がこれらの問題を扱うことは違法であり、結局、労働者自身においてその後の手続すべてを処理しなければならないことなります。

 裁判例上も、業者が労働者から有償で依頼を受けて使用者に対して退職の意思を伝達したところ、使用者側から労働者との契約は雇用契約ではなく業務委託契約であるとの回答を受けるや、業者は法72条違反を避けるため、業務を中止し、使用者との交渉等を一切行なわなかったという案件があります(東京地判R2.2.3)。以上からも、業者には、労働者の退職の意思を使用者に対して伝達する以上の権限はないものと考えられます。

弁護士に依頼するのと退職代行業者に依頼するのでは、できる範囲が違います。
退職代行業者では、単純に会社を辞めますという意思表示と退職の手続きを代行は出来ますが、残業代請求など労働に関する交渉は弁護士にしかできません。
はじめは残業代請求や有休消化をするなんて不義理でしにくいと思われる方もいらっしゃると思います。
しかし、いままで働いた分を計算すると100万以上請求することがわかり、勇気を出してご依頼される方が多いです。泣き寝入りせずにまずは弁護士にご相談ください。

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