雇用契約に期間の定めがない正社員の場合

退職代行コラム

Q.
雇用契約に期間の定めがない正社員です。
勤務先を退職したいのですが、慰留され辞表を受け取ってもらえません、どうすればいいですか。

A.
ご自分で配達証明付内容証明郵便によって、退職届出書を勤務先送付することをお勧めします。
もちろん、退職代行を利用して弁護士に依頼することもできます

【解説】

使用者と労働者との間には、雇用契約が成立しています (労契法6条)。
労働者は、使用者に雇用される際に、書面により契約を締結していないときは、雇用時に使用者から受けた労働条件の説明のほかは、使用者に就業規則があれば、同規則に規定されている条件で雇用契約を締結したということになります(同法7条)。

退職手続は、原則として就業規則を含む雇用契約の定めに従ってなされます。常時10人以上の労働者がいない事業所においては、法律上は、就業規則の作成義務はありませんので(労基法89条)、就業規則がない場合は、雇用にあたり個別の雇用契約書が作成されている(労契法4条2項)ことが多く、同契約書に退職手続の定めがあれば、それに従います。
雇用契約書に退職手続が規定されていない場合何らの書面も交わされていない場合には、退職手続は法律の定めに従ってなされることとなります。

ところで、労働者は職業選択の自由により、就職する自由及び退職する自由が保障されていますので(憲法22条1項)、本来、労働者の退職は自由です。
しかし、前述したとおり、ほとんどの場合、労働者は就職時において、就業規則や雇用契約書により、退職手続を予め合意していますから、この限りにおいて、退職の自由は制約されます。

ご相談の件ですが、労働者から使用者に対し、辞めたいと意思表示しているにかかわらず、これを拒絶するのは退職手続云々の問題ではなく、労働者が退職すること自体を拒絶しているものと思われ、極めて不当というほかありません。

通常、労働者の退職は、労使間で協議して退職日時や業務の引継ぎ方法等の合意を得たうえで円満になされているところです。
しかしながら、法律上は、労働者の退職は使用者の承諾がなくても退職できるのです。本件のように雇用契約に期間の定めがない場合、労働者はいつでも理由なしで、使用者に対する一方的な意思表示により退職の申入れをすることができます。
ただし、雇用はこの意思表示をした日から2週間を経過することによって終了します(民法627条1項)。

以上から、労働者は使用者に対して、退職の意思表示をすれば退職できますが、退職の意思表示を明確にするためにも、書面ですることをお勧めします。
同書面は弁護士に依頼して作成してもらうか、自ら作成して、配達証明付の内容証明郵便 (郵便局において差し出した書面の内容及び同書面が相手方に配達されたことを証明してくれる郵便)により郵送するとよいでしょう。
内容証明郵便の利用方法については、日本郵便のホームページを検索してみてください。

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