退職代行について
退職代行とは?
退職代行とは、労働者本人に代わって弁護士や代行業者が会社に退職の意思を伝えるサービスのこと。
「退職の意思を会社に伝えたら、上長から執拗に引き止められたり、今辞めたら損害賠償を請求するぞ、と脅迫や嫌がらせを受けたりした」という話を聞いたことがある人も多いでしょう。
このように、「会社が辞めさせてくれない」といった悩みを抱える労働者に代わって退職届を提出するのが、退職代行サービスです。
退職代行の成功率100%
退職代行サービスのなかには「退職代行の成功率100%」とうたう広告もありますが、これには理由があります。どのような企業でも民法627条にもとづき、解約の申し入れの日から2週間で退職できるという決まりがあるためです。
しかしこれが迅速かつ円満に退職できるか、という問題になると別の話になります。会社によっては一定の手間と労力が掛かる場合もあるため、100%の迅速・円満を約束することは困難でしょう。
実際に退職代行を利用する場合は、どのような流れで進められるのでしょうか。退職代行は、一般的に以下6つのステップで進められます。ここでは退職代行の流れについて、一つずつ見ていきましょう。
①申込みもしくは相談する②利用者の情報を共有する③利用料金を支払う④担当との今後の打ち合わせ⑤打ち合わせた内容を実行し、その経過報告をする⑥アフターフォロー |
①申込みもしくは相談する
まずは利用者から退職代行サービスに申込みをします。退職代行サービスがどれだけ便利なサービスだったとしても、業者からアプローチすることは基本ありません。労働者自身からの申込みが必要となります。
業者への連絡方法はいくつかあり、電話やメール、LINEを使用するのが一般的です。
退職代行専門業者で相談料を取っているサービスは基本、ありません(弁護士事務所を除く)。有給休暇や退職金の取り扱い、非弁のリスクなど気になる点があれば、あらかじめ無料相談をして申込みを判断するとよいでしょう。
②利用者の情報を共有する
申込みが完了したら、次は利用者情報を共有します。
必要となる利用者の個人情報:氏名、生年月日、電話番号、住所、雇用形態、勤続年数、契約期間、身分証の画像、希望する退職時期など
利用者が所属する会社に関する情報:会社名、勤務先の電話番号、所属部署など
「有給休暇をすべて消化したい」「返却してほしい私物の有無」「離職票といった送付を希望する書類」など、退職に当たっての希望はこの段階で伝えておきましょう。
③利用料金を支払う
ひととおり情報を共有したら、今後の流れや利用料金に関する説明を受けます。退職代行サービスは基本的に先払いです。本格的な打ち合わせの前に、利用料金を支払いましょう。
支払方法は業者によって異なるものの、現金振込やクレジットカード決済が一般的です。ほかにもLINE Payやビットコイン、そのほか電子マネーでの支払いを受け付けているところもあります。
入金完了後、業者側が支払いを確認した段階から本格的な退職代行作業が始まります。
④担当との今後の打ち合わせ
はじめに共有した情報よりもさらに詳しい質問を介して、具体的な打ち合わせが進んでいきます。担当者との打ち合わせは、質問メール(ヒアリングシート)を利用するのが一般的です。この打ち合わせでは以下のような点を決めていきます。
決行する日時
退職理由
退職希望日
会社からの貸与品の有無
発行を求める書類
返却や処分を求める私物の有無
有給休暇や退職金について
代行業者のなかには電話スタッフの役割まで、利用者が詳しく設定するサービスもあります。しかしこれは失敗の原因にもなりかねないため、あまり推奨されません。
日時と伝える内容だけを決めて、あとは退職代行業者のスタッフに連絡してもらうとよいでしょう。
⑤打ち合わせた内容を実行し、その経過報告をする
退職手続き開始後は、すべて代行業者におまかせとなります。代行業者は先のヒアリングにもとづき、退職の連絡を実行するのです。
1回で退職を認めてもらえることもあれば、複数回連絡が必要になる場合もあります。いずれも依頼者は状況の共有を受けるのみ。直接のやり取りはありません。
退職の意向を伝え、依頼者側から会社へ送付すべきものが伝えられれば、退職代行は一段落となります。
⑥アフターフォロー
代行業者によっては退職後のアフターフォローを行っている場合もあります。失業給付の申請や転職のサポートなどを希望する場合は、退職代行完了後に相談してみるとよいでしょう。
なおこれらに関しては業者によって進め方が異なります。アフターフォローを依頼する際は必ず担当者の話を聞きながら進めましょう。