解決までの時間について
Q. 弁護士に退職代行を依頼(委任)して、解決までにどれくらいの時間を要しますか。
A. ケースバイケースですが、過去の未払残業代や退職金問題がなければ、概ね退職予定日から1カ月半程度です。
【解説】
① まず、弁護士と相談の上、ご希望の退職予定日を決めます。
ただ、年次有給休暇(以下「有給」という)の残があるときは、これを全部消化してから退職するのが得策ですので、この場合の退職予定日は有給消化最終日とします。
退職予定日を決めたら、弁護士から退職申入書を使用者宛に郵送します。場合によっては、郵送とともにFAX送信もします。同申入書では退職予定日を指定するとともに、まだ給与支払日が到来していない未払賃金、退職金制度があれば退職金を請求します。
未払賃金につきましては、給与の締め日にもよりますが、
例えば、給与の支払が毎月末締め翌月15日払とされていたとします。
2月6日に弁護士に委任したとして、2月9日まで勤務、退職予定日を2月10日としていた場合には1月分の給与は2月15日支給、2月分(9日分)については3月15日支給となりますので、この場合だと弁護士に委任して未払給与の支払いを受け終わるまでに1か月と9日間を要することになります。
② 退職申入れをしたからといって未払給与の支払いを拒む使用者はほとんどいません。万一、拒めば、労基署に通報する等して法的措置を執れば問題解決できます。
会社に退職金制度があれば、その支払時期は就業規則の退職金規定に「退職金の支払いは退職の日から○○日以内に支払う」などと定められていますので、この規定によることとなります。
この間、会社から、退職予定日や業務の引継ぎ等について反論されることもありますが、対応はすべて弁護士がします。そうして、会社に労働者の離職手続に必要な書類の交付を求める一方で、労働者から会社に対して、貸与物(制服や鍵など)、健康保険証を返還します。
以上によれば、退職予定日から1カ月半程度で未払給与の受領までの処理が終了するということになります。
③ なお、労働者は残業代(時間外手当)支払請求権を有しており、請求しようする日から過去2年間に遡って請求できます(労基法37条1項、115条、115条の2、ただし、法改正により2020年4月1日以降に発生する未払賃金の消滅時効期間は3年となりました)。
退職申入書では、使用者に対して、タイムカードやパソコンのログ記録等を提出するよう併せて請求しておきます。
しかしながら、使用者が未払残業代の存在及び未払額を争うことがあり、使用者との間で協議が整わなければ、法的紛争となり解決までには相当の時間を要することになります。
ただし、退職時期とは別問題ですので、退職予定日をもって退職すること自体には何ら影響はありません。