医師、公務員、自衛隊員の退職代行利用について

退職代行コラム

Q.
医師・公務員・自衛隊員でも、
退職代行を利用することができるでしょうか。

A.
問題なく利用できます。

【解説】
1. 医師(勤務医の方が退職する場合を想定)
病院と私的な雇用契約を締結している勤務医は、給与をもらう立場にあり、自分でクリニックを運営する立場にある開業医とは異なります。
勤務医は、一労働者ですので、退職代行を利用するに当たって注意する点
は、一般の会社員と何ら変わりはありません。
問題なく、退職代行を利用することができます。

2. 公務員
(1)地方公務員
地方公務員は、労働契約の締結ではなく、
任命権者(地方公務員法6条)により任命されることで
公務員となります(同法17条)。
この「任命」は、契約ではなく「特許」という行政行為であると
考えられています(徳島地判H15.12.16)。
そのため、退職の意思表示によって一方的に、
公務員の地位が喪失することはなく、
退職の意思表示を受けた任命権者が退職の承認を行って、
初めて公務員としての職を解かれる、ということになります。

(2)国家公務員
国家公務員の場合は、人事院規則によって、
「任命権者は、職員から書面をもって辞職の申出があったときは、
特に支障のない限り、これを承認するものとする。」と定められており
(人事院規則8-12の51条)
退職の申し出については任命権者の「承認」を要することを前提とした
規定になっています。

弁護士に退職代行を依頼した場合には、
『 依頼者に代わり退職願の届け出をし、その後の交渉を代行し、
任命権者の承認を得る』 手続きを代行することになります。

3. 自衛隊員
国家公務員である自衛隊員が退職する場合には、
任命権者の承認が必要となるのは、上記の通りです。
加えて、自衛隊員に関しては、国防を担うという特殊性から
任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認められる場合には、
必要とされる期間退職を承認しないことができる旨定められています。(自衛隊法40条参照)。

このように、自衛隊の場合には、
厳しい退職のルールが定められているといえます。
加えて、上命下服の関係にある隊員が上官に対して、
退職の意思を伝えることが難しい場合もあるかもしれません。
退職に関し、やり取りが必要な場合であっても、
弁護士であれば交渉をスムーズに進めることが期待できますし、
法的に問題ある対応は、弁護士相手には通用しませんので、
より誠実な対応をしてもらえることが期待できるでしょう。

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